ウッドセラピーの健康効果

平成27年8月2日
森の駅推進協議会 代表幹事 岡本守生

ウッドセラピーとは、何もの。
森林セラピーなら分かるけど。

 森から元気を貰うことは理解出来ても、森から運び出した木材から元気を貰うことが出来るなどとは、思ってもみなかった。
このような方が大半だと思います。
森林セラピーは、森の中で直接元気を戴くこと。具体的には、木々の葉や幹の表皮が発する新鮮なモノテルペンの揮発分を胸一杯、体一杯に吸い、心身共に元気になります。
モノテルペンは、心身を活性化する作用があります。
特に春から夏に掛けて効果があります。
このところ益々盛んになり、森の駅でも何か所か森林セラピー・ツアーを開催しています。
この10年は、森林医学なる分野も啓発されて、益々エビデンスが蓄積されています。

 一方、ウッドセラピーは、森の駅推進協議会で、木材の発するセスキテルペンのセドロール等の健康効果に就いて、勉強を重ねている内に、自然発生的に生まれ、指導に当たられた東大名誉教授の谷田貝充克先生も大いに賛同された言葉です。
木材に内在するセスキテルペンは、特に、心身を鎮静化する作用があります。
ヒバやヒノキの木の香り、と言えばご理解戴けるかと思います。
数年前、青森の「森の駅」で、既に築後十数年経ているにも拘わらず、ヒバの香りがしているのを経験しました。
ヒバ独特のセスキテルペンの脅威的な力です。
また、自然乾燥の無垢のヒノキは、1,2カ月くらいは強く香ります。
自然乾燥の杉では、2、3週間ぐらいでしょうか。
しかし、強い香りがしなくなっても、元気の素になっているセスキテルペンのセドロールは、24時間中、室内への放出を続けていまして、室内環境を守り、住む人々を元気にしているのです。この力こそが、ウッドセラピーなのです。

 九大の清水邦義准教授等が医学部の協力を得て、約2年前、外観では区別が付かないようにした、現代風の家と、上津江村の自然乾燥のスギを使用した家で、住む人の健康に関する比較実験を行いました。
自然乾燥のスギによる住まいの方が、睡眠中の脳波の検査等も良好だったとの報告を戴きました。ウッドセラピーの効果の実証です。
また、最近、自然乾燥の杉の小板2枚で、枕の回りをへの字の型で囲って、寝たところ、良く眠れたとの実験報告がありました(近畿大学環境医学科 東准教授等)。
今後益々こうした身近な実験が行われることでしょう。
家全体、部屋全体ではなく、呼吸する範囲でもこうした効果があったことは大変嬉しい事です。
世の中の趨勢は、自然な家への回帰にあります。
具体的には、このウッドセラピーと言う安価で長期性のあるサプリメント付きのような住まいへの回帰です。

私どもの祖先は、森で生まれ森で育ちました。こうした森林セラピーや、木材を利用した棲家で浴びるウッドセラピーのお蔭で、寿命を延ばしてきたのです。
当時、セラピーなどの洒落た言葉こそありませんでしたが・・・。
現在は、ウッドセラピーのある住まいが、僅かな価額で貴方がたの身近にあること、を知って戴ければ嬉しい次第です。