メルマガ89

「森の駅発」メルマガ 第89号

★ グランド・フォーラム2016 終了報告
★ 山小屋通信–25「森を抜けて山へ」大森 明
                                              
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森の駅発グランド・フォーラム2016 終了報告

当会は毎年数回の市民フォーラムを通して、多くの講師陣を招き、
当会の思いと方向性を同じくする各分野の優れた知見を得て、
私たちの活動の活力、知力の縁としてきました。
このような活動の発足から8年目の今年、秋も深まる日曜日の秋晴れの午後、
色づく銀杏に囲まれた東京大学農学部弥生講堂に、
各分野にエピデンスと実績を示されておられる著名な方々を講師に迎え、
「グランド・フォーラム2016」を開催。
■テーマ:自然乾燥木材で健康な住宅を!
■日時:2016年11月20日  ■場所:東京大学農学部キャンパス弥生講堂
■ゲスト講師:谷田貝光克・清水邦義・中村勉(講演順・敬称、肩書省略)
■当会講師:酒井秀夫
当日は以上4名の講師の方々から、樹木や木材がもたらす健康力、
自然乾燥の木材の家の重要さ、既に始まっている日本の大型木材建築、
木材提供の源となる森林の、世界と比較して見える日本の実態と今後の課題、
それぞれについてご講義頂き、またパネルディスカッションを開きました。

開催予告はこのメルマガでも案内をしてまいりましたが、
お陰様で日本各地から100名を越す方々が参加。
当日ご出席の皆様並びに日頃より応援して下さる皆様に心より感謝申し上げます。
また国会環境部会常任理事・委員の参議院議員石井苗子(ミツコ)氏からは、
ご自身が取り組む環境問題に加えて母校東大での開催にも関心をもたれ、
議会活動と被災地支援活動訪問のなか予定を調整、急遽ご参加、開催祝辞と、
活動へのエールを賜り、予告にないサプライズとして会場が盛上りました。
石井様はじめ関係者の方々に感謝申し上げます。

岡本守生当会代表幹事と酒井秀夫当会副代表の挨拶で始まった流れは、
西村一孝幹事司会で講義(セミナー)スタート。
講義はまず谷田貝光克東大名誉教授の「快適環境づくりに木の香り」から始まり、
清水邦義九大農学研究院准教授は「無垢木材の良さの科学的検証」を報告、
中村勉東京建築士会会長が自らの作品で「自然共生型ゼロエネハウス」を実証され、           
当会副代表 酒井秀夫東大大学院教授の「日本の森をより元気に」へと進行。
講義終了後のパネルディスカッション(4講師+市川皓一幹事司会)では、
会場の聴衆も加わった活発な質疑応答が展開されました。

またその熱気から、終了後のレセプションには予約を上回る40名以上が参加、
乾杯の音頭をとられた佐藤岳利ワイス・ワイス社社長をはじめ、
ドイツなど海外からの参加者も加わり、互いに日頃の活動や研究を交わし、
交流の輪を広げ理解を深めることが出来ました。

その様子の一端は当会公式サイト(森の駅発ホームページのイベント欄、健康住宅
/森の駅発ホームページの森の駅発市民フォーラム欄)でご覧頂けます(動画)。

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山小屋通信–25「建築廃棄木材の再利用」大森 明



我が山小屋が建つあたりは、廃屋が倒壊して撤去されることがあり、
一方、増改築して使わなくなった材木が出ることもあり、
何かと古材を入手できる機会がある。
築千年以上の木造建築がある中、
おそらく百年も経っていないのに「古い材」と言われると、
その木に気の毒だが、腐ってスカスカになってしまった部分は土に帰し、
色が変わった程度のしっかりした材は再利用させていただく。

数年前、当会の森の駅発市民フォーラムに参加した折に、
新潟県十日町で古民家や古材を再利用して建築をされておられる、
すばらしい建築家とその作品に接する機会があり、「これはアートだ!」と感動した。
それ以来、自分は建築家ではないが、小さな木工作品を作っている。
コースター、表札、積木、椅子、ごみ箱などなど…。

コンクリートやプラスチックは経年で明らかに劣化し、見た目も強度も衰えていくが、
木は古くなっても、見た目も強度も劣化していないことが多い。
表面を削って磨くと、思いもかけず良い味が出ることもある。
逆に削らずに変色した色合いを生かしても、
よい味わいを出すケースもあるから不思議だ。

よく言われることだが、木はCO2を取り込んで固定化しているので、
家具などとして使い続ける限り、地球温暖化の抑止効果もある。
アートとして、また、地球環境問題への貢献として、
けっこう有意義な活動をしているなと勝手に思いながら、作品を造っている。

人が「ガラクタ」と呼ぼうとも、これは「アート」である。

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