メルマガ129

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「森の駅発」メルマガ NO.129 2020 May

 新型肺炎感染にご注意ください。森の駅推進協議会一同

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★樹木関連美術レポート「ミレーの春」 戸田 吉彦
★山小屋通信「かしわの葉に願いを」 大森 明

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樹木関連美術レポート「ミレーの春」戸田 吉彦


5月も半ばだというのに、残念ながら東京の外出自粛要請はまだ解除されず
音楽会はおろか美術展さえも我慢しなければならない日々が続きます。
先月に続き私の記憶に残る美術展と一枚の絵をご紹介します。

最初に観た美術展は、1959年に開館した国立西洋美術館のオープニングでした。
先年、ル・コルビュジェの設計建物の一群として世界遺産に登録された美術館です。
所蔵品の中心となる松方コレクションがフランスから日本に里帰りしたお祝いで、
ルーブル美術館からも、今はオルセー美術館に移管された近現代絵画が数多く参画し、
7歳の私は初めて観る大きな展覧会の人混みとモダンな建物に興奮しました。

その時購入した図録を一昨年お目にかかった馬渕現館長にお見せしたところ、
この図録は今は美術館の手許にはないのですと言われ大変喜ばれてご覧になりました。
しかし私にとっても大切な宝なので差し上げられずに持ち帰りましたが、
私が持っているよりもいずれ寄付したほうが良いと思い直しています。

その図録を見ながら当時の私の心を捉えたフランスの画家と作品を思い出しています。
ひとりは20世紀に水彩画のように軽やかな油彩画を描いたラウル・デュフィ。
また19世紀ロマン主義のドラクロワは、ドラマチックな絵が記憶に残っています。
そして今日ご紹介する、19世紀の写実主義のミレーが描いた「春」です。

ミレーについての知識は当時はなく子供心にただ絵の美しさに見とれていました。
「落穂拾い」や「晩鐘」など農民の敬虔な姿を描いたミレーだとは後から知ります。
ミレーはゴッホにも影響を与え、日本の出版社のマークになった「種蒔く人」は、
どちらが描いたか分からぬほど初期のゴッホはミレーの絵に傾倒しています。

ミレーという名前の有名な画家はイギリスの前ラファエル派にもいますが、
農民を描いたバルビゾン派のミレーの名前はジャン・フランソワ・ミレーです。
1814年にノルマンディー地方の農家に生まれ、絵の才能を信じた両親が
画家にしようと学ばせやがてパリに出てサロンにも入選し支援者も得て活躍します。

しかし1849年、パリでコレラが大流行し、パリでの経済基盤も失い、
フォンテヌブローの森の隣の小さな村、バルビゾンの友人らを頼り移住します。
ここで仲間と絵を描く中から生まれて大きな話題になったのが「種蒔く人」です。
その後は一貫して農民画を描き続け晩年は巨匠としての名声を確立しました。

「春」は1868年に依頼された「四季」の一枚として最初に完成した作品です。
冬から春へ向かう様子が、空の虹と消えゆく雲、荒れた地面から覗き始めた緑など、
いくつもの「復活」と「再生」の象徴で表現されています。
バルビゾンで世話になった友人ルソーの死を悼み、友へ捧げた作品と言われます。

この後、連作「四季」の「夏」と「秋」に着手しますが、健康状態がすぐれず、
未完成のまま、1875年1月にバルビゾンで亡くなりました。
「春」は最後まで手許にあった、完成した最高傑作です。
疫病と経済的打撃から避難した後に名声を確立したミレーの最晩年の傑作から、
「復活」と「再生」の力を得たいと思います。


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山小屋通信 「かしわの葉に願いを」 大森 明


毎年5月のいわゆるゴールデンウィークには、
かしわ餅を食べる。
この期間は信州の山の中にいることが多く、
信州味噌使用と推察する味噌餡のかしわ餅を食べることにしている。

ただ、今年は諸般の事情で信州行き自粛中のため、
まだ味噌餡にありつけていない。
下界では小豆餡のかしわ餅を食べると決めているので、
先日も小豆餡のものを買ってきた。

餡の話しはさて置き、
かしわ餅を包んでいるかしわの葉を剥がしている時に、
かしわの葉にまつわる話しを思い出した。

それは昨年の森の駅・野外観察会で知ったことなのだが、
かしわの樹は秋に紅葉して葉が枯れても冬には葉が落ちずに
木にくっついたまま翌年の春に新芽が出てはじめて落葉する樹だということ。
それは葉守り(ハモリ)の神が葉に宿っているから、
という言い伝えがあること。

そして、新しい葉が出てくるのを待ってから古い葉が落ちるので、
途切れる事なく子孫代々繁栄・家運隆盛を象徴する樹ということになり、
縁起を担いで端午の節句にかしわの葉で包んだ餅を食べるという習慣が生まれたらしい。

このように縁起の良い葉っぱだということを知ったので今年はかしわ餅を食べた後、
かしわの葉を捨てずにスケッチして絵に残した。
絵に込めた思いは「かしわの葉のようにしぶとく粘って生きるが、
子孫や若手には潔く全て譲って明け渡す!」。
この絵を部屋に置いて自戒している。

こういった木や森に関する興味深い知識を学べる森の駅・野外観察会が
早く再開できる日が来ることを切に願っている。


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 森の駅推進協議会では、日本の森林産業停滞の解決へ向け、森の駅発と称し、
 下記の活動を行っています。あわせてご参照の上お役立て頂ければ幸いです。

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1「市民フォーラム」開催:
日本の森と日本の森が産み育てる国産木材、それを活かす健康な住環境をはじめ、
生活者の目線で市民の皆様の理解をすすめる講演会を広範囲な視点から企画開催。
内容や開催日など当メルマガ(下記3)でお知らせします。

2「健康住宅/森の駅発」の活動:
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