森林吸収源の算出方法

京都議定書が採択されて3年くらい交渉した後でまとまった合意にマラケッシュ合意というのがあります。
①森林の定義が定められていますが、小さいところから、各国が設定できるようになっています。
②土地利用変更を行う場合のみが対象となり、人工林を伐採し、その後すぐに植林を行うことはカウントされません。
③森林経営、農地管理、放牧管理、植生回復の中から各国が選択できるようになっています。わが国はこのうち森林経営と植生回復の2つを選択しています。森林経営では自然に吸収したものではなく、人為的活動によって吸収量が増えた分だけが対象となります。

森林吸収源対策として、林野庁では地球温暖化防止森林吸収源対策10ヵ年対策」を立てていて、その中に育成林の1160万ヘクタールについて健全な森林整備を展開していこうということが盛り込まれています。具体的には間伐の推進です。

CO2吸収量の計算には、ストックチェンジ法という森林の蓄積変化量から算出する方法を用います。
森林吸収量=蓄積変化量×拡大係数×容積密度×炭素含有率となっています。
吸収量の単位は炭素トン/年です。
蓄積変化量の単位は立方メートル/年です。国においては全国調査の結果を元に、2006年にスギ、ヒノキおよびカラマツを対象とした「新収穫表」を作成し、使用しています。
拡大係数は幹の体積を枝・葉・根を含む樹木全体の体積に換算するもので通常1.7倍くらいにすることが多いです。
容積密度の単位はトン/立方メートルで樹木の体積を乾燥重量に換算するもので、だいぶ幅があるのですが、わが国の平均は0.5です。炭素含有率は樹木の乾燥重量に占める炭素の割合で、その樹種も同じで0.45です。

地方自治体では、①企業の森、協働の森等の制度や②CO2吸収認証制度、CO2削減認証制度、③カーボン・オフセット制度への活用、④条例に基づくCO2削減制作への充当などの取り組みが進んでいます。

カーボン・オフセットというのは努力しても削減できない排出量に対して、他の場所や他の活動による排出量の削減、吸収量の増加をクレジット(VER)化したものにお金を払って埋め合わせる(オフセットする)手法です。わが国では環境省が2008年2月に「カーボン・オフセット指針」を出し、クレジットの認証基準を検討会で検討し、作った認証制度をJ-VER制度と呼んでいます。