メルマガ96

「森の駅発」メルマガ NO.96 2017 August

 ★ 開発商品紹介
 「木造シェルターで従来の課題を解決」市川 皓一
 
 ★ シリーズ「想いを形に」No.4
 「森と木材は活きていてこそ役立つ」岡本 守生

 ★ 幹事寄稿文
 「カナリアの声に耳を傾けてみませんか」上坂洋文
 
 ★ 連載エッセイ/山小屋通信–32
  「工房の腰痛対策」大森 明

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 ★ 森の駅推進協議会・健康住宅研究部会 開発商品紹介
「木造シェルターで従来の課題を解決」市川 皓一

阪神・淡路大震災と東日本大震災を体験し、現在幾つかの防災シェルター
が登場しているが、いざとなると一長一短があるようだ。
実際こんなシェルターが欲しいという声を聴き、研究を重ね、考えられる
限りの問題を解決し、「命守」(いのちもり)と命名した。
その要望とは、現在居住中の木造家屋に組み込め、工事が短期間で済み、
普段使いも可能で、調湿、抗菌、防虫効果もある健康的で居住性の高い、
大震災の揺れと二次災害の火災に強い、手が届く価格のシェルター!

恐らくこの要望には多くの工務店やメーカーでは、相談を受けても採算が
合わないと諦めるのではないだろうか?
しかし半世紀にわたり幾多の住宅を手掛けてきた経験と、青ヒバ(青森産
ヒバ)専門家として木の特質を研究して来た知識を基に、耐震構造で農林
大臣賞獲得の技術を用い、自ら図面を引いた試作品をまず耐震性能実験を
行いパスしたので、耐震シェルター等助成制度も調べ、林野庁の支援金を
得て国際展示場東京ビッグサイトで発表したところ大変な反響があった。

東京都の調査結果を見ると、昭和57年以前に計画、現在も居住する木造
家屋の耐震診断はほとんど実施されているが、耐震リフォーム工事の実施
はほとんど無い。しかし、首都圏の木造密集地域に住む人にとって危急の
課題なのに、一時転居の問題もありハードルは高い。
実際いつ起るか分からない震災時の緊急避難場所は一番身近な所が良く、
なおかつ2〜3日は自主的に避難生活を営める空間が望ましい。
だが、家屋全体をリフォームする予算組は難しく寝室等の一部屋だけでも
耐震耐火シェルターに出来れば手は届きやすい。それには耐震構造であり
ながら居住性の高いシェルターを、現有する住宅内にインセットするのが
一番である。

私が自信を持って世に問う「命守」(いのちもり)の特徴は次の通りです。

1.本格的耐震振動実験を実施(耐震シェルターを謳っていても実は少ない)
2.免震化のため床をオープンカット(茶室同様、地盤に固定しない直置き)
3.耐火ボードで炎対策×排気ファンで煙対策(二次災害へ万全の対応)
4.無垢材木造である(居住性と耐火性を追求。既存品は軽さが目的の合板製。)
5.キット化で他社が真似出来ない低価格と工期短縮。(150万円×3日間)

メルマガ読者は、自然乾燥・低温乾燥の木材は内部の木質繊維の素材性能
を生かせば、鉄やコンクリートに比べ圧縮力や熱に如何に強いかご存知の
所だが、詳しい数値比較は耐震実験の内容も含め問い合わせられたい。

                            (市川氏談/文責=戸田)

▼ モデルルームも含め、お問い合わせは以下の通りです。

  ■商品詳細:森の駅発 健康住宅サイト → 耐震健康シェルター 
  http://www.moriniaisareruie.com/taishin.html

  ■問合せ先:木っず(鹿沼健康住宅推進協議会)Tel.0289-77-5810
  E-mail: kkz@mr-woodman.co.jp

  ■モデルルーム「命守」展示場;荒川区東尾久6−52–11 旧渡辺邸 
   *都電荒川線・舎人ライナー熊野前より徒歩2分
   *見学ご希望の方は上記までお問合せください。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★シリーズ「想いを形に」No.4
「森と木材は活きていてこそ役立つ」 岡本 守生

森と共に歩んだ人間がほんのこの四〜五十年で、活きている木の持つ良さを
忘れて、木の香りや、調湿作用による木の伸縮にクレームを申し立てる、と
言った社会になってしまいました。誠に残念です。

然し本来人間は、森の自然の中で育ちました。森に入る時は、その入口で、
祠があれば祠に安全の祈願を含めて手を合せ、祠のない所では森に一礼して
入ったものです。
森にいる時は森への感謝と共に、心身と自然との繋がりを覚えていました。
しかも、今で言う森林セラピーのお蔭で元気を貰って帰りました。

先人達はそれぞれの土地の風土に合ったと言いますか、自然との調和の中で
住まいを考えて来ましたが、現在は利便性を中心にした、同じような住まい
が主流になっています。

木材についても本当の木材ではなく、見た目が木材に見える「木材もどき」
が花盛りです。生きているものへの憧憬は何処へ行ったのでしょうか。
呼吸する木と共に、木の香りに包まれてこそ始めて素直に生命を覚えます。

また本当の木材には古びる良さがあり、躓きの際の怪我に優しいものです。
種によって効能は異なりますが、インフルエンザに強く、不眠の解消、ダニ
などの発生が少なく、更に、長命をもたらしています。これらは生きている
木材が持つセスキテラピンのセドールによるウッドセラピーのお蔭で、室内
空間の環境を健康に保ち、住む人に元気をもたらしているのです。

健康や元気の視点から、本当に価値あるものを見直す時期に来ていますが、
住宅の営業に当たって、このような木材の良さについて説明をする営業マン
は殆どおりません。その方が利益になるからでしょう。
市民を無知の状況に置くことによって利益を育んでいるようにも見えます。

伝統建築の工法や、基本の軸組みについては知る人も少なくなり、暫くする
と絶滅危惧種になりそうです。勿論学校ではわずかしか教えないので、設計
出来る人が少なくなっています。このように新しい温故知新について教える
人もなく教える場も奪われています。自然と遠ざかるばかりで残念です。

然し衣食住の中で、衣と食は自然へ回帰し、しっかりと繋がっております。
これは有機栽培を推進した生活生協等、製造・流通の活躍のお蔭です。
しかし、未だ住まいの自然への回帰は遠い道にあります。

住まいは木材だけでなく、金物、化学品等、さらに家具、電化製品など色々
な物資の組み合わせで出来た総合的な器です。
生活の合理性に、効率や利便性が持ち込まれ、更に恰好良くとデザインまで
駆使されています。
このままでいると、益々自然との繋がりが薄くなっていくようで残念です。

せめて住まいの骨格をなす木材だけでも自然との繋がりを残したいと、
私達森の駅推進協議会は、市民フォーラム等の開催を通じて、
生活者・市民の皆さまに、木の香りがする国産材の選択をお願いしています。
私達の営みが日本の森と繋がり、日本の森が元気になればと祈りながら。
                         …次号へ続く

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「カナリアの声に耳を傾けてみませんか」上坂洋文

炭坑夫がカナリアと共に坑道に降りていくエピソードは、
テレビでも紹介されたのでご存知の方も多いでしょう。
酸素が欠乏すると、人間より敏感なカナリアは先に察知して鳴き始めます。
そのおかげで鉱夫達は身に迫った危険を知り、坑道から退避できるのです。
最近気づかされたことを、ちょっとした詩にしてみました。


カナリアの声に耳を傾けてみませんか。

化学物質過敏症の患者さんの声は、カナリアの声。
それは、現代の化学物質にあふれた社会への警鐘。

化学物質過敏症の患者さんは、こう思っている。
自分たちのような苦しみはこれっきりにしてほしい。
これ以上新しい患者を生まない社会になってほしい、と。

どうってことないと思うものでも、多量にもしくは継続的に浴びていると、
誰もが化学物質過敏症になるリスクが、現代の日常には潜んでいる。

柔軟剤の香りが大好きで、毎日洗濯したての服を着ていたら、
いつのまにか化学物質過敏症になった。
大好きな香りが、耐えられない猛毒のニオイに変わってしまった。

ちょっと臭いが強いかなと思っていたリフォームしたての家。
家の中にいると少し気分が悪くなるが、家から出ると元気になる。
我慢して住み続けていると、化学物質過敏症になった。
今までニオイを感じなかったものまでが、
耐えられないニオイに変わっていく。

化学物質過敏症の患者さんの声は危険を知らせるカナリアの声。
科学的に有毒と証明されていないから安全? 
そんなわけはないでしょう。
化学物質過敏症の患者さんの多くが耐えられないものは、
健康な人間も避けた方がいい。

科学的な解明は、あとからついてくればいい。

健康な自分を大切にしたいから。家族の健康を大切にしたいから。
だから私は衣食住を見直し、暮らし方を変えていく決心をした。

カナリアの声を頼りに、私は化学物質にあふれた現代を生きていく。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
山小屋通信–32「工房の腰痛対策」    大森 明

山小屋は別宅という位置づけで、通常は下界のマンション暮らし。
そのため下界では洗濯物や布団を干すと、木工作業スペースが消滅する。
この状況では作業台を設置する気分になれず、
ベランダの段差を作業台代わりに利用。

背中を丸めて腰を折り曲げる姿勢で、木工作業をずっとしてきた。
そのツケが来たのかここ数年腰が痛い。
老化に因る部分もあるだろうが、若い頃に比べて非常に痛い。

そこでついに、横浜にある古い民家に作業場(工房)を作り始めた。
煉瓦敷きテラスに、作業台や電動工具類を設置する予定だ。
椅子は、元勤務先のオフィス家具販売会社から購入した腰に優しいタイプ。
これで腰痛対策は万全だ(と思う)。
電気・水道はすでに引き込んであるので、
あとは雨対策と防音対策を順次やっていく予定なのだが、
先立つものとのバランスで、順次実行。
コストと快適性の睨めっこ。

という訳で比較的コストの掛らない、廃材利用の立て看板を先に作った。
まだ作業台を設置していないので、また腰を折り曲げての作業になった。

だが、工房のコンセプトを込めた立て看板ができると、
どういう訳かヤル気が出て、腰痛も軽くなった気がする。