メルマガ130

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「森の駅発」メルマガ NO.130 2020 June

 新型肺炎の感染に注意して健康な生活を保ちましょう。森の駅推進協議会一同

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★ 樹木関連美術レポート「葛飾北斎 冨嶽三十六景 甲州三島越」 戸田 吉彦
★ 山小屋通信「シデの木」 大森 明

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樹木関連美術レポート「葛飾北斎 冨嶽三十六景 甲州三嶌越」戸田 吉彦

ようやく山を越えたかと思われる新型コロナ感染予防の昨今でしたが、
まだ都内感染者は連日二桁の状況が続き、そろそろ収束してほしいと祈る思いです。
外出自粛発令の4月に「レンブラントの三本の木」、先月は「ミレーの春」をご紹介し
6月は日本を代表する北斎の冨嶽三十六景から、巨木の「甲州三嶌越」をご覧頂きます。

三島越とは、甲州から駿河を経て伊豆の三島へ到る道筋の山中湖の南、
甲州と駿州の境の籠坂峠を指し、丹沢山系の鞍部の辺り国境に当たり、
古くは鎌倉往還(鎌倉街道)と呼ばれ、武田氏と北条氏が衝突した要衝地です。
甲府から石和、御坂峠、河口湖、山中湖、籠坂峠、御殿場を抜け三島に通じました。

冨嶽三十六景の神奈川沖浪裏(大波)はモナ・リザと比肩するほど世界的に有名と、
ルーブル美術館館長が日本の美術番組製作者に言ったそうですが、日本人としては、
海だけでなく街や山の中から見える富士の傑作も沢山ある、と答えたいところです。
江戸の材木職人の「本所立川」、山中で鋸を引く「遠江山中」はご存知でしょうか。

この「甲州三嶌越」は巨木が主題の富士を遮り、さらに画面を分割する危険な構図、
絵画史上誰もが当然とした約束事を無視し、それにもかかわらず目を惹きつける魅力、
他の絵ともども北斎が西洋絵画に与えた影響は計り知れないと言われます。
後年、近代絵画の父と言われるセザンヌがまだ売れない頃に冨嶽三十六景に倣い、
故郷のセントヴィクトワール山を40枚以上連作(冨嶽三十六景は46枚)しましたが、
その中には主題の山を隠すように樹木や伸びる枝を置いた絵が多く含まれます。

実は、今年は北斎の生誕260年にあたります(宝暦十年(1760)生まれ)。
北斎が自身の代表作「冨嶽三十六景」を刊行したのは70歳を過ぎてからですが、
その3年後に37歳若い広重が東海道五十三次で登場して北斎の後を追います。
北斎はいくつか風景画の版画を手掛けたあと版画の世界から遠ざかり、
間も無く肉筆画に専念、平均年齢60歳の時代に89歳で亡くなる最後の年まで描き続け、
これぞ遺作と国内外の美術館が主張し合うほど傑作をいくつも残しました。

亡くなる直前に枕元に集まった娘の応為と門人達に、
あと10年の寿命があればと言い、しばらくして、5年の寿命が保てれば、
本当の絵師になれるのに、と発して不帰の人となったことが娘の手紙に記されています。
現代は医療が進歩し長寿社会となった反面、目的も元気もないと言われる高齢化社会、
北斎の人生観と旺盛な生命力に学びたいと思う昨今の筆者です。

北斎は絵画二千年の歴史を覆した日本を代表する芸術家と海外は早くから評価するも、
日本ではそれを伝えず江戸時代の代表的浮世絵師の一人に過ぎぬと250年が過ぎました。
最近海外で開かれる大展覧会が相次ぎ、生誕の地の墨田区にも北斎美術館が完成。
政府も注目し、外務省は今年3月から新パスポートに冨嶽三十六景から24枚を掲載、
財務省も新紙幣に大波を採用、ようやく認識を改める努力が始まったところです。

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山小屋通信 「シデの木」 大森 明


近所の雑木林に、
幹に斜め縦方向に白っぽい線模様がいく筋も入っているシデという木がある。

林内のあちこちに結構生えているのだが、春に鮮やかな花が咲くわけでなく、
秋にコナラやクヌギのようにドングリがなるわけでもない。

何となく名前を調べずにやり過ごしてきたが、
雑木林に子供を連れていくようになってから、
子供に木の名前を聞かれて「知らない」では恥ずかしいので、
樹木図鑑で調べて名前だけは承知していた。

ただ、もうひとつ印象の薄い木だった。

昨年、このシデについて
森の駅推進協議会の野外勉強会で興味深い情報を得た(下記1~3)。

 1.シデの名前の由来
   春に枝からぶら下がる果穂が、
   神社のしめ縄等に付いている紙垂(しで)を連想させることによる。

 2.シデの種類
   クマシデ、アカシデ、イヌシデなどあり、
   首都圏の雑木林にはアカシデ、イヌシデが多い。

 3.シデが雑木林によく見られる理由
   雑木林では昔、薪炭にするナラ・クヌギの伐採・更新が繰り返されてきた。
   時代を経てナラ・クヌギが育ちにくい土壌になると、土壌を選ばず、
   燃えにくくて薪炭に不向きなシデが増加傾向となる。

さらに最近、紙垂(しで)の形は稲妻や落雷をイメージしていることも知った。

古来、落雷は神の力で、稲はこの力をもらって育つため、
落雷=豊作という信仰が生まれたという。

こうして個人的には印象の薄かったシデが最近は印象深い木になり、
絵のモデルにもなってもらっている。

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 下記の活動を行っています。あわせてご参照の上お役立て頂ければ幸いです。

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