国産材の利用が増えること

日本の森林率は、明治時代では森林率45%(森林面積で約1700万ha)に過ぎませんでしたが、現在では66%(約2980万ha)と、約20%も増加しています。フィンランドに次ぐ、世界屈指の森林大国に成長しているのです。戦後の拡大増林の成果もあって、森林面積の約44%が、ビジネス利用を目的として植えられた人工林ですが、今は活用されるどころか放置され、国産材自給率は下落の一途を辿り、18%に落ち込んでしまっています。

 人工林の針葉樹は現在、手入れがほとんどされておらず、ひしめき合って並んでいる状況です。光が差し込まないため、下草も生えず、細くてヒョロヒョロした木ばかりです。そのような木は、根が浅いために土を締め固める能力が乏しく、台風や豪雨で簡単に倒れてしまいます。全国で土砂崩れが多発し洪水が増えているのは、森林の保水能力が低下しているからとも言われています。かつて森林は、フカフカの腐葉土に覆われ、ミネラルや栄養分が川から海に流れ、海産物が豊富に育っていました。まさに「山紫水明の国」だったのです。若い人はこの言葉すら聞いたことがないと言います。今は死語なのです。

 一方で日本は、南洋材を乱伐し、ロシア材にまで食指を伸ばして世界の木材を買い集めています。自国の生命循環を壊し、世界の環境破壊をしていると、温暖化対策の国際会議の場などで、批判を浴びるほど。日本の森林再生、主に人工林再生は世界の大命題といっても過言ではないのです。林産地では高齢化が進み、林業が衰退すると共に、限界集落の再生が急務となっています。この状況を好転させるために、「森の駅発」では啓蒙のみならず、林業関連ビジネスを創出し、雇用を生み、実践的な活動を展開していきます。